
後味が悪い。
この一言に尽きる作品。
Amazon Prime Video ドラマ『人間標本』(湊かなえ原作)の事なんだけど、まあ、後味が悪い。
どういう気持ち悪さかを言語化したいけど、言葉が追いつかない。
まず、人間を蝶に見立てて標本にするという犯行をある人物がおこなったとして捕まる。そこに至るまでを描いている。
これだけでも十分に気色が悪いと思うが、その背景や経緯も気色が悪い。何なんだろ…この気色悪さ。
何がわからないのだろう?ってことを書きたい。
あ、ネタばれが含まれる可能性があるので、それは困るって人は回れ右してください。
Amazon Prime Video ドラマ『人間標本』を見て思った3つの事
人間を標本にしたいという発想がもう気色悪い
人間を標本にして森に飾る。
この発想がもう気色が悪い。
何をどう考えても、こういう考えに自分が至らないので、非現実的な世界観だと客観視するにはちょうどいい設定。
でも、まあグロいったらない。
その犯人として逮捕される男性。しかし、どう見てもそういう事をしそうにない。ははーん。この人がどこかで狂うんだな…と思うがなかなか狂わない。
狂わないな…と思っていると、狂っているのはこの人じゃない。
まともだと思っている人がまともじゃないかもしれない。
話が進むにつれて、というか、後半に入ってから急展開するので「あれ?」「まさか…」となる。
そして見終わった今も、やっぱり気色が悪い。
後戻りできたやろどこかで…と思えてならない。
才能と嫉妬が動機、だからと言ってそうなるのか
全体的に、才能を持つ人と持たない人の世界が描かれている。
才能を持つ人とその家族。
才能を持つ人はその得意な才能で地位と名声を得ている。
その才能の後継者を見つけたい。
才能の世界の継承という表のシナリオと、才能を持つ人への嫉妬、持たない人のドロドロとした感情、敗北感、そのようなものが実は隠されている。
しかし、それが感じさせる表現が特に無い。誰が嫉妬を抱いているのかノーヒントで作品が進んでいく。
誰もが才能を持つ人の集まりなので、嫉妬や敗北感を抱く人がいるように見えない。でも、人一倍カオスのような感情を抱いている。
現実でもこうなのかな…
自分は才能がないタイプなので、マグマのようなカオスのような嫉妬を持つことは今のところはない。でも、才能を持つ可能性があった人はその嫉妬や敗北感は強いのかな…。
なんてことも思ったり。
認め合えず奪いあい、誤解もしている。誰も幸せにならない世界
最後の最後に、男性が全てを知ることになる。
その時点まで、男性は自身の行いはやむを得ないと思っていた。
ある種の自分なりのまとめ方だったのかもしれない。
一番やりたくないことをやった。
でもそれは自分の誤解による誤った決断だったと知る事になる。そして、絶望をする。心が壊れる。
今の今まで、それを「なんだこれは…」と思っていたが、今書きながら思ったのが、ここまでが黒幕のあの人の目的だったのか…。
人間標本を、あの男性に、あの森で直接見せるようにと指示していた。
そうすることで、ピタゴラスイッチのように誤解が誤解を生み、あの間違った行動を起こす。その間違いを時間を経て知る。
そして心が壊れる。
ここまでがワンセットだったのだろうか・・・
そんな事を思ったが、いずれにしてもやっぱり後味が悪い。
そんな訳で…
このドラマを誰かに見せたいのかというと、見せたいとは思わない。見たい人を止めるつもりは一切ないが、これ良かったよ!とオススメすることができるのか?というと、難しい。
なにせ自分自身が後味がよくないと感じているわけだし。
もし面白く感じる角度で伝えるとするなら…
「ある男性が人間を標本にしたとして自首をした。その男性は逮捕されることになる。しかし後日、すべての真実を知って心が壊れてしまう。何があったのか…が描かれている」
そんな伝え方をすることになるのかな…。
総じていえば、理解はできても納得も共感もできない不思議な作品だと思う。
さすが湊かなえ作品というべきか。
結局、自分でも納得がいく言語化ができなかった。こんな感想を書いてしまったことすら後味が悪い。
ただ、人間の深い部分、ドロッとした部分に触れる作品が好きって人には、話を進めるにつれて深く没入でき、見終わった後も、あれってそう言う事か…と考察しまくれる作品であることは間違いがないと思います。